top of page
  • 朝野裕一

肩にまつわる悩み?〜五十肩と言われるもの

まず肩こりの続きをちょっとだけ補足しておきます。

こりやすい筋肉の一つに僧帽筋があることは以前お話ししました。

その時の図をもう一度↓

作業姿勢によっては、僧帽筋がこる原因になるということでした。

さて、

今日はいわゆる五十肩と言われるような、肩の痛みと腕の挙上が制限

される状態を考えてみようと思います。

それを考えるにあたり、肩関節の構造をもう一度みてみましょう。

肩関節の構造は実は結構複雑で、様々な関節の複合体で構成されて

います。

肩甲骨に浅い受け皿があり、その中で上腕骨が回転しながら腕が挙がる

わけですが、肩甲骨は鎖骨とも連結していて肋骨の上を動き、鎖骨は

胸骨という骨でもう一方が固定されています。

多くの関節の複合体が真の意味での肩関節ですが、一般的に肩関節と

いえば、肩甲骨と上腕骨との関節(肩甲上腕関節)のことを指します。

先ほど肩甲骨にある浅い受け皿のなかを上腕の丸い頭(上腕骨頭)が

回転して腕が挙がると言いました。

股関節と違い受け皿が浅い分この関節は不安定になりやすい構造です。

そのために関節唇という受け皿の周囲を補強する組織や、回旋筋腱板

という4つの筋肉が覆っていて安定度を保証する構造になっています。

この回旋筋腱板という筋肉群が うまく働かなくなると肩が挙がりづらく

なります。

どういうことでしょうか?

下の図をご覧ください↓

腕が挙がるときに受け皿の中を骨頭が回るのですが、もしお皿に押さえ

込む力が働かなくなるとどうなるでしょうか?右下のように骨頭が下に

落ち込んでしまったり、逆に上に突き上がってしまったりと不安定に

なってしまいます。

この押さえ込む力を発揮するのが、回旋筋腱板の役割です。

これがうまく働くと右上のように皿の中を安定して回転してくれます。

そういう大事な役割をする回旋筋腱板。腕をあげるたびに使われるので

どうしても金属疲労のように長い間で傷んできます。

その周囲に炎症などが起こるといわゆる五十肩と言われる肩関節周囲炎

が生じます。場合によって回旋筋腱板の一部あるいは全部が切れてしま

う腱板断裂という状態になる場合もあります。

何れにしても、腕を挙げるたびに痛みが起こり、挙上制限が生じてきて

しまいます。

気がつくと関節拘縮という関節の可動域自体が制限されてしまう状態に

陥ります。これが五十肩と言われる状態の典型的な経過です。

腱板断裂を含め日常生活に支障をきたすレベルでは、迷わず整形外科

を受診することをまずはお勧めします。

その上で、

いずれ病院でのリハビリテーションが開始される場合が多いと思います

が、そこまでひどくない場合や病院通いを続けている時でも家で注意

しておくことが必ずあります。

肩を正しく動かす運動です。

そのためには肩の構造を知らないと、間違ったやり方をしてしまう場合

がしばしばあります。

肩の可動域を改善するために、ただがむしゃらに痛みを我慢して動かせ

ばいいというわけではありません。

まず大事なことは、最初に書いた肩甲骨の位置を意識することです。

ということは・・・姿勢に注意する必要があるということです。

特に立ったり座ったりした状態で腕を挙げる時には、猫背姿勢になら

ないように注意が必要です。

なぜなら、肩甲骨の位置が正常にならない可能性があるからです。

肩甲骨が正しい位置にないと、腕だけいくら挙げようとしても、連動

した肩甲骨の動きが制限されてしまい、結果的に回旋筋腱板が動くとき

(肩峰という部位の下をスライドする)に圧迫されてしまい、かえって

炎症を引き起こしてしまうという悪循環が生じる可能性があります。

他動的にせよ自動的にせよ肩甲骨の動きをまずは注意して、腕を挙上

させる練習を行う必要があります。

それを無視すると、

痛みが増強されて、最悪慢性化してしまう危険性が高まります。

病院に通っている場合は医師や理学療法士などのアドバイスに耳を傾け

自分で行う場合はよく肩の構造を知り、慎重に対応する必要があるで

しょう。たかが五十肩と言わず、されど五十肩と考えましょう。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。

閲覧数:8回0件のコメント
bottom of page