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  • 朝野裕一

動きの相転移

ここのところ、スクワット動作について色々考えてきました。

時間的要素=速度の変化が、動きを変えていく様。

時間的要素のもう一つ(数多く長く行うという意味で)=疲労の要素

が動きを変えていく様。

それぞれ、速度と連動性疲労と連動性の中で画像でお示ししました。

ある一連の運動の連動性が崩れることを破綻と称して述べています。

これは見方を変えると一種の相転移ともいえるでしょう。

例えば、歩いている人が早足になり、そしてついには走り出す。

この時の動きは、歩く動作が単純に時間的に速く行われるだけではなく

異なる種類の動作に変換=相転移していると考えられます。

(詳しくは「運動よもやま話12」でも書いています)

字を書くときを考えてみましょう。鉛筆やペンでノートやメモ用紙に

「あ」というひらがなを書くとき

肩や肘は固定としての働きが主で

実際の書字動作は手首や指を動かして行います。

これが画用紙にサインペンでとなると、肘や肩の動きが入ってきます。

手首や指先はむしろ逆転してペンを持つ(固定する)ことに変わります

黒板や白板にもっと大きな字で書くとなると、さらに肩の動きが主に

なって、肘が補助的動き、

手首や指は完全にペンの固定役になります。

こういうことが動きの相転移と言われるものです。

前に進む(歩行など)、「あ」という文字を書く、目的は同じでも

それを達成する動きは、

状況や環境、目的によって全く変わってくるんですね。

こういったことも、

ヒトが生まれてから徐々に環境との間で経験を積みながら学習していく

と考えられています。

さて、

スクワットの話に戻すと、あまりにも速く動かすことが求められると

時間的余裕のある動きとは異なる動きが出てきます。

今回はそれでも、股関節と膝関節を90度くらいまでしっかりと曲げる

と、動きをある程度規定していたので、一見同じ動きに見えなくない

のですが、以前に画像でお示ししたように、よく見ると異なる動きに

変容してしまっています。

疲労してきても同様で、最初に規定した動きを続けようと意識している

にも関わらず、動き始めの疲労がない状態とは様相が異なってしまって

いますね。

いわば、位相の転移がおこなわれてしまっている。

タイミングも一定のリズムからずれていることがわかります。

(時間同期のビデオ編集上の未熟さだけではない要因としてリズムの

変化を感じました)

もし、

股・膝関節の角度も規定していなければ、動きを速くすればするほど

また疲労すればするほど、両関節の動きは少なく(浅く)なって

きていたと推測されます。

今度はその状態も確認していきたいと思っています。

そうなると完全なる相転移(別の種類の一連動作)が見て取れる

のではないかと思っています。

何れにしても、

速度要素・疲労の度合いが動きの相転移を起こさせるということは、

一方では、出力が大きく疲労を起こしやすい速筋の能力アップを

必要とするでしょう。

特に、長い時間行わなければならないスポーツ競技などには、

そのためのトレーンングが必要になります。

もう一方で、

発揮する力はそんなに強くないが持久性のある筋肉(遅筋)の方を

鍛えて長持ちをさせるというようなことも競技などによっては必要

かもしれません。

そのスポーツや動作の特性によって、鍛え方もターゲットを絞って

行うことができるのではないでしょうか?

まぁ両者とも優れていれば最高かもしれませんが、そうなると

その競技でトップレベルに至ることができないのかもしれませんね。

瞬発的な力を常に要求される競技と、持久的要素が最後に物を言う競技

色々ありますから。

ですから、陸上の十種競技の勝者がアスリートの王様と言われるのも

よくわかります。

トレイルランニングという競技がありますが、これももしかしたら、

瞬発系(坂の登り下りがある)と持久系(長く走る)の両者の要素を

必要とする競技かもしれません。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また、明日。

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