人類の大いなる苦悩ー腰痛
- 朝野裕一
- 2017年12月4日
- 読了時間: 3分
人類の進化にともなう大いなる苦悩の一つに腰痛があります。
なぜそうなるのか少し考えてみましょう。

そもそも二足直立位で歩行その他の活動を常に行うところから、この
苦悩は始まっていると考えられています。
前回の続きから考えてみましょう。

ややデフォルメした絵ですが、左の二つがチンパンジーの立位と四足
での移動時の姿勢を示しています。
一番右が現人類、現在のヒトです。
一番の特徴が、脊柱(背骨)と骨盤の構造です。ヒトは首と腰の骨に
当たる頸椎(7個)と腰椎(通常5個)が前側にせり出すカーブを描い
ています。
骨盤はチンパンジーよりも短く、
腰椎との関節と股関節が位置しています。
頸椎のカーブは頭を垂直に受けられるようにできており、
腰椎のカーブにより脚を伸ばしたまま立てるようになっています。

ということは・・・
この腰椎と骨盤、股関節を一つのユニットとして考えると、
ここに重力にともなう自重と地面から受ける反力が加わる構造に
なっていることがわかります。

ちょっと情報量が多くてすみませんが、上の図のように腰から上の身体
の重みと、地面からの反力をこのユニットで受け止めていることになり
ます。
骨盤は、二つの左右腸骨と真ん中にある、腰椎とつながっている仙骨に
よって形成されています。
仙骨と腸骨は仙腸関節という、面上のほとんど動かない関節で
つながっています。
ここには、腰から上の身体の重みがかかり、その力は股関節へと
伝わっていきます。
一方で、股関節には地面からの反力が加わり骨盤へと伝わります。
ですから、この部位:仙腸関節と股関節には立っている時には上下から
相反する方向からの力が加わっていることがわかります。
これらの力を吸収するために、各種の靭帯や筋肉が働いています。
さらに腰椎部分を横から見ると、

立っていると、腰椎の前にせり出したカーブを押しつぶすような力が
働くことがわかります。
椎体と呼ばれる骨の間には椎間板というクッションが存在し、
椎体の間の関節(椎間関節)ともども力を吸収しています。
ということは、その部位への負担もかかっていることを示しています。
もちろん重心の位置によって、どこにどういう力が加わるかは変化する
のですが、腰椎や椎間板への負担が容易に想像がつくと思います。
人類が直立位を取ったことによる腰椎・骨盤(仙腸関節)・股関節
への負担がなぜ生じるかがお分かりになるかと思います。
まぁ、腰痛と一言で言っても色々な原因から生じるので、一概に
というか簡単に片付けるわけにはいきませんが、
なんと!
80%の腰痛は、はっきりとした医学的原因が不明とも言われており、
その要因の一つとして、人類が進化の中で引き受けざるを得ない、
直立位の獲得ということがあると思います。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。