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  • 朝野裕一

人類の大いなる苦悩ー腰痛

人類の進化にともなう大いなる苦悩の一つに腰痛があります。

なぜそうなるのか少し考えてみましょう。

そもそも二足直立位で歩行その他の活動を常に行うところから、この

苦悩は始まっていると考えられています。

前回の続きから考えてみましょう。

ややデフォルメした絵ですが、左の二つがチンパンジーの立位と四足

での移動時の姿勢を示しています。

一番右が現人類、現在のヒトです。

一番の特徴が、脊柱(背骨)と骨盤の構造です。ヒトは首と腰の骨に

当たる頸椎(7個)と腰椎(通常5個)が前側にせり出すカーブを描い

ています。

骨盤はチンパンジーよりも短く、

腰椎との関節と股関節が位置しています。

頸椎のカーブは頭を垂直に受けられるようにできており、

腰椎のカーブにより脚を伸ばしたまま立てるようになっています。

ということは・・・

この腰椎と骨盤、股関節を一つのユニットとして考えると、

ここに重力にともなう自重と地面から受ける反力が加わる構造に

なっていることがわかります。

ちょっと情報量が多くてすみませんが、上の図のように腰から上の身体

の重みと、地面からの反力をこのユニットで受け止めていることになり

ます。

骨盤は、二つの左右腸骨と真ん中にある、腰椎とつながっている仙骨に

よって形成されています。

仙骨と腸骨は仙腸関節という、面上のほとんど動かない関節で

つながっています。

ここには、腰から上の身体の重みがかかり、その力は股関節へと

伝わっていきます。

一方で、股関節には地面からの反力が加わり骨盤へと伝わります。

ですから、この部位:仙腸関節と股関節には立っている時には上下から

相反する方向からの力が加わっていることがわかります。

これらの力を吸収するために、各種の靭帯や筋肉が働いています。

さらに腰椎部分を横から見ると、

立っていると、腰椎の前にせり出したカーブを押しつぶすような力が

働くことがわかります。

椎体と呼ばれる骨の間には椎間板というクッションが存在し、

椎体の間の関節(椎間関節)ともども力を吸収しています。

ということは、その部位への負担もかかっていることを示しています。

もちろん重心の位置によって、どこにどういう力が加わるかは変化する

のですが、腰椎や椎間板への負担が容易に想像がつくと思います。

人類が直立位を取ったことによる腰椎・骨盤(仙腸関節)・股関節

への負担がなぜ生じるかがお分かりになるかと思います。

まぁ、腰痛と一言で言っても色々な原因から生じるので、一概に

というか簡単に片付けるわけにはいきませんが、

なんと!

80%の腰痛は、はっきりとした医学的原因が不明とも言われており、

その要因の一つとして、人類が進化の中で引き受けざるを得ない、

直立位の獲得ということがあると思います。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。また明日。

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