筋力にこだわる理由(わけ)
ここまで何回も、筋力について必要条件だが十分条件ではないと
しつこく書いて来たのには、自分なりの理由があります。
今日はそのことについて、お話しします。
私は長年理学療法士として、リハビリテーション医療に携わって
来ました。
その過程で、ヒトの身体運動能力を測る指標として、筋力は必須
の事項でした。
しかし、必ずしもその人が行う/行える/行うべき?パフォーマンス
(仕事)を筋力だけで測るのは、無理があるなぁと漠然としながら
も気付きました。
例えば膝の人工関節置換術後の歩き方が、筋力トレーニングだけで
改善するか?あるいは筋力を測っただけで、歩きの改善を評価でき
るか?と言われれば、無理でしょう。
もちろん、歩き方には歩く速度(スピード)や一歩の歩幅や、
歩くテンポ(ピッチ=ケイデンス:cadence)など客観的な指標は
あるものの、どのようにして歩いているかまでは、高価な運動分析
機器を使用しなければ、客観的指標として提示できません。
もちろん、日々の練習場面でいちいちそのような手間をかけるわけ
にはいきません。どうしても主観的な観察という手段が必要でも
あります。
しかし、世は根拠のある医療を求め、客観的指標、つまりは数字で
表すことのできるものを必要としていました。
確かに筋力は必要な条件なので、必要ない!と言うことは
できません。
どうしたものかなぁと考えていた時、筋パワーという考え方に行き
着いた、過去にあたって見つけた、というわけです。
パフォーマンスを物理的な仕事の考え方にはてはめて、
仕事率=力×速度がヒトの身体運動にも当てはまることは、運動生理学
の分野では以前から言われていました。
そして、筋力は必要な条件だが、それだけで十分なわけではないと、
自分なりに納得、腹に収まったのです。
さて、
続きはまた明日にします。今日も読んでいただありがとうございました。